四季の森空間blog

20131215

「知性なきアベノミクス」                     13.12
 13年12月9日の毎日新聞の夕刊に経済学者の伊東光晴さんの「アベノミクス批判」を吉井理記者が
 まとめている。伊東さんは「アベノミクス」という幻想に踊らされる社会が我慢出来ないらしい。

 金融機関が持っている国債を日銀が買い取り金融機関のお金を増やし、民間への融資や投資を増や
 して消費を拡大して景気回復とデフレ脱却を図るという三本の矢の一つの「大胆な金融政策」を行
 ったという。しかし現実は全く異なる。

 13年4月で市中に流通していた89兆円と日銀当座預金残高66兆円の合計の155兆円のマネタリーベー
 スが、11月末時点で191兆円(市中流通金89兆円+日銀当座預金残高102兆円)と膨らんだが、増加し
 たのは日銀当座預金残高だけで、市中流通金89兆円は4月の時点と同額で増えておらず、銀行に留ま
 ったままになっている。これは消費、企業活動も低調で新たな融資が出来ていないからである。

 「アベノミクス」による株高や企業業績の好調さが報じられるが、これは株は海外の投機マネーが
 流れ込んだだけであり、好調な業績は海外市場の好況やリストラによるもので、「アベノミクス」
 とは何の関連も無い。

 円安政策の結果、輸入コストの上昇を招き食料品などの物価高を招いただけで、安倍内閣はこの1
 年何もしておらず、国民の不安を高めただけだ。市中に出回るお金が増えれば物価が上がり、資産
 価値も上昇し、消費も増えるという人間の思考を単純化して考える「アベノミクス」は経済学と呼
 べないシロモノである。閉塞感から従来の経済学ではあり得ない暴論を述べているだけである。

 小泉政権は規制緩和で多大の非正規雇用者を生んだが、「アベノミクス」も成長戦略をうたいなが
 らも、需要がないのに規制緩和して競争を激化させるから非正規雇用者は更に増える。原発も早々
 に再稼働を決めており、犠牲になるのは国民である。戦前と同じようなムードに乗ってはだめで、
 知性を磨かなければならない。

 競争や成長の時代が終わったことを自覚し、人口減による市場収縮に備えるしか処方箋はない。住
 宅は既に需要を上回るほどもあるので、これを活用して安価な住宅を供給し、物も十分あるからあ
 くせく働かなく、豊かな時間が過ごせる余暇を増やすべきである。消費税の代わりに付加価値税を
 導入して、貧しい人に負担が掛からずに税収を上げ財政再建をすべきである。

 「アベノミクス」は大企業を潤すが、非正規雇用者を更に増やし消費は一段と冷え込み、異常に増
 発して余ったお金は、投機市場に流れ込み異常な投機社会の来訪をきたす恐れがある。だから「ア
 ベノミクス」はなんとしても食い止めねばならないとする。

 伊東光晴さんの本は、学生時何冊か読んだものだが、上記ほどの激しい方では無かったと思う。そ
 の伊東さんがこうまで「アベノミクス」について批判されるのは少々驚きであるが、最もな言質で
 ある。三本の矢の「機動的な財政政策」は絶対的多数を国会で占めているので無軌道とも思える程
 進められているが、「民間投資を喚起する成長戦略」は殆ど目ぼしいものは見当たらない。これで
 は「大胆な金融政策」を日銀総裁の首を据え変えて行ったとしても、上で伊東さんが言われた通り
 にしかなるまい。

 政治面では、憲法改正への道筋に向けて様々な施策を、強引にそして矢継ぎ早に安倍政権は実施し
 始めた。衣の下の鎧がいよいよ上着を押しのけて表面化しつつある。
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